FM長野・NHK-FM リスナーである ラジオネーム:チャート★ドランカーの個人ブログです。
私の 週間選曲リスト と 週間放送視聴日記 を 公開・保存しています。

第626回ランキング

   
  1. 第 1 位 ( △ )
    NHK BSプレミアム・プレミアムドラマ「昨夜のカレー、明日のパン」テーマ音楽 [阿南亮子]
  2. 第 2 位 ( ▽ )
    女王蜂「ヴィーナス」
    テレビ東京・ドラマ24「怪奇恋愛作戦」オープニング テーマ
  3. 第 3 位 ( ▽ )
    NHK総合・大河ドラマ「花燃ゆ」テーマ音楽 [川井憲次]
  4. 第 4 位 ( △ )
    Bryan Adams“Run To You”
    スズキ テレビCMソング
  5. 第 5 位 ( ▽ )
    鈴木常吉「思ひで」
    SBC MBS・ドラマ「深夜食堂3」オープニング曲
    ♪ 1位 2週、登場18週。

 NHKがラジオ放送を開始してから 90年になりました。NHKでは、毎年「放送記念日」が巡ってくると、放送に関する特別番組を放送しています。シンポジウムやドキュメンタリーが多い中で、忘れられない放送記念日特番は何か? と問われれば、私は、海外ドラマ「エド・マロー ~ テレビを変えた男」(NHK総合・1991年 3月21日・本放送)と即答します。

 ドラマが始まる前に「これは、草創期の米国テレビ界で、ニュース・キャスターとして活躍し、真実に迫る勇気と誠実さで、今も 米国放送ジャーナリズムのヒーローと言われている男の物語である。」とクレジットが出ます。1950年代の米国テレビ放送ジャーナリズムの創始者である エド・マロー(Edward R. Murrow)の生涯を描いた単発海外ドラマです。

 ドラマは冒頭、第2次世界大戦下の 1940年にナチスドイツがロンドン大空襲した時、その空襲をエド・マロー 特派員が、全米に向けてラジオ実況生中継した有名なシーンから始まり、戦後に物語が移ります。テレビ時代に入った米国社会では、米ソ冷戦時代となり「マッカーシー旋風」が、共産主義スパイ摘発の名の元に、魔女狩りの如く吹き荒れていました。

 政治的恐怖からマスコミも沈黙していたマッカーシー旋風に対して、緻密な取材 と 冷静なレポートにより、エド・マローは、1954年 3月 9日のCBSニュース“SEE IT NOW”で、そのマッカーシー旋風を メディアで初めて痛烈に批判します。この報道の自由を取り戻すきっかけとなったニュース番組が 制作される過程を、ドラマでは 克明に描いています。

 エド・マローは、シカゴ特捜隊ヒル・ストリート・ブルースのDaniel J. Travanti(山本圭)。エド・マローの相棒的プロデューサーであるフレッド・フレンドリーは、Edward Herrmann(津嘉山正種)が演じており、劇中では 当時の米国テレビ・ラジオ番組のテーマ音楽・CMソングが多く流れ、劇伴音楽の役割も果たしています。

 ドラマには、放送ジャーナリズムが どの様に形成されていくのか? 現代にも通用する示唆があります。CBS会長のウィリアム・ペイリー(Dabney Coleman・鈴木瑞穂)は、エド・マローを全面的にバックアップしており、また利潤主義を貫き対立していた CBS社長フランク・スタントン(John McMartin・田中信夫)の陰のサポートもあったのです。

 また ペイリー会長が、ラジオが好きで、内緒で小さなラジオ番組のスポンサーになり、次にラジオ局を買い取って、全米ネットワークの放送事業に進出した経緯を、エド・マローに話すシーンがありました。ラジオが好きで、そして放送自体が好きだという若き日々の思いがあるからこそ、放送ジャーナリズムを根底から理解でき、当時のエド・マローを支えられたのです。

 最近私は、YouTubeで、当時の“SEE IT NOW”を視聴する事が出来ました。ドラマでも描写されている“SEE IT NOW”が放送されていたスタジオは、実に不思議な構造なのです。テレビスタジオの副調整室に当時の大型カメラを持ち込み、スタッフも調整卓も そのまま映して、エド・マローは、隅にあるデスクからアナウンスをしていました。

 そのスタジオには“CBS-TV CONTROL ROOM STUDIO 41”と銘板が付いており、現代のワーキング・ニュース スタジオの原形を視る斬新さを感じました。テレビジャーナリズムの理想を模索しながら、現実でなく真実を選択した、エド・マローの伝記である この素晴らしい海外ドラマは、全編を放送資料として MPEGファイルで保存しています。


ブログ開始は 2003年です。

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