第205回ランキング
- 第 1 位 ( ⇒ )
中島みゆき「銀の龍の背に乗って」
NBS フジ・木曜劇場「Dr.コトー診療所2006」主題歌 - 第 2 位 ( △ )
abn テレ朝・ドラマ「相棒」劇中効果音楽 [池頼広] - 第 3 位 ( ▽ )
NBS フジ・木曜劇場「Dr.コトー診療所2006」劇中効果音楽 [吉俣良] - 第 4 位 ( △ )
FAYRAY「ひとりよりふたり」
NHK総合・連続テレビ小説「芋たこなんきん」主題歌
♪ 転調処理のアレンジも巧みです。 - 第 5 位 ( ▽ )
Delta Goodrem “Flawed ~ 埋まらないパズル”
名女優の岸田今日子さんが、17日に お亡くなりになりました。。岸田今日子さんと言えば、所属する「演劇集団 円」の後輩俳優であった渡辺謙とのコンビが思い出されます。いずれも岸田今日子さんが演ずる、我が道を行き、時には暴走する(笑)母親と、その母親に翻弄されながらも、同居のスタイルを崩さず大切にする一人息子・渡辺謙との設定が貫かれていました。
NBS長野放送(フジ系)で共に流れていた、時代劇「御家人斬九郎」(1995年 1月 ~ 2002年 2月・全50話 本放送)と、2時間ドラマ「鍵師シリーズ」(1993年 3月 ~ 1997年10月・全5話 本放送)において、ふたりは、そんな母 と 子を演じていました。時代劇 と 現代ドラマの両方で、ほぼ同時期の本放送という珍しい親子キャストです。
御家人斬九郎では、1999年 2月10日 本放送 第4シリーズ 5話「罠には罠を」こそ、この時代劇の魅力が詰まった傑作中の傑作エピソードだと思っています。罠には罠を は、第2シリーズ 7話でゲスト出演した田中邦衛が演ずる白魚の吉次が再登場。エピソード冒頭、松平斬九郎(渡辺謙)は、旗本の斉藤勘解由(大出俊)から、預かった名刀の試し斬りを頼まれます。
罪人を対象とする試し斬り は、斬九郎の片手技、隠れたアルバイトなのです。ところが、その預かった名刀を、猫だましの又八(蛍雪次朗)に盗まれてしまいます。試し斬りの期限までに名刀が戻らないと、依頼主の勘解由は 切腹しなければなりません。斬九郎は、事情通な白魚の吉次と一緒に捜索しようとするのですが、白魚の吉次は 賭博容疑で未決牢の中でした。
そこで西尾伝三郎(益岡徹)の計らいで、牢から吉次を出すのですが、1日1回 監察の与力巡回の時間には、必ず牢に戻らなければなりません。マイペースな白魚の吉次に翻弄されながらも、又八を捕らえる事に成功します、そこで黒幕・岡江清十郎(石原良純)の存在を知るのです。岡江清十郎は、勘解由に遺恨があり、切腹改易の処分を起こそうと刀を盗ませたのです。
寄託した大旗本に返却する時間内に、名刀を奪還出来ないと、勘解由は切腹。そして吉次が戻らないと、西尾伝三郎も切腹となる土壇場の中で、蔦吉(若村麻由美)も絡んだ、罠には罠を仕掛ける総力戦を展開。遂に名刀を奪還して勘解由の切腹は中止、ついでに 岡江清十郎で試し斬りも済ませてしまいます。吉次も定刻ギリギリに牢へ戻り、万事丸く収まる結末でした。
2時間サスペンスの「鍵師シリーズ」は、5本制作されましたが、1997年10月17日 本放送「鍵師5 ~ 完全無欠鍵のプロ!悩める者の救世主」には、強い印象があります。鍵師の水谷浩二(渡辺謙)と 内装店経営の由里太郎(渡辺徹)。同じ渡辺姓で 漢字3文字ながら(笑)演劇集団 円 と 文学座という根本に違いがある 2人の俳優が、無二の親友を演じています。
太郎がヤミの金融業者(小日向文世)からの借金に追われ、偶然手に入れた手帳をネタに総会屋を強請る事を思いつきますが、逆に総会屋から狙われ、クレージーでマニアックな爆弾魔(本城丸裕)に、手作り時限爆弾を仕掛けられ、監禁されてしまいます。浩二は、太郎を救出するべく単身監禁場所に乗り込んでいく、鍵師の本領が遺憾無く発揮されたエピソードでした。
と、ここまで書いてみて、2話とも岸田今日子さんが活躍していない事に気づきました。いつも導入部 と 〆に登場するのですが、鍵師シリーズでは、一度視たら忘れられない(笑)岸田今日子さん演ずる母・水谷かな のテニスウェアシーンがあります。それを視た渡辺謙演ずる息子・水谷浩二の困惑しきった顔こそ、他の出演したドラマでは 視せた事がない表情でした。
また御家人斬九郎シリーズでは、岸田今日子さん演ずる母・松平麻佐女が鼓の名手で、これは一度聴いたら忘れられない、モールス信号(笑)の様な鼓を打つシーンが ふんだんにあります。また稀代の食通である麻佐女は、処刑代行業とも言える片手技で斬九郎が稼いできた手当を、全部グルメな食事に費やしてしまい、斬九郎は いつも慙愧の念に堪えかねているのです。
2作品共に岸田今日子さん演ずる奔放な母親が、渡辺謙の日常を表面上拘束してしまう描写も多く、それが笑いを誘うのですが、実は 斬九郎も 鍵師・水谷浩二も、その中で自由に生きていたのです。密度の濃い母子関係を「御家人斬九郎」「鍵師シリーズ」という時代が異なる ふたつの作品から魅せてくれました。2シリーズ共に名作ドラマでした。御冥福をお祈りします。