FM長野・NHK-FM リスナーである ラジオネーム:チャート★ドランカーの個人ブログです。
私の 週間選曲リスト と 週間放送視聴日記 を 公開・保存しています。

第556回ランキング

   
  1. 第 1 位 ( △ )
    Kaho “every hero”
    NBS フジ・ドラマ「ミス・パイロット」主題歌
  2. 第 2 位 ( ▽ )
    BS Dlife・BBCワールドニュース テーマ音楽 [David Lowe]
  3. 第 3 位 ( ⇒ )
    ビリーバンバン「これが恋というなら」
    三和酒類 iichiko テレビCMソング
  4. 第 4 位 ( ⇒ )
    ダイドーブレンド オーケストラ編 テレビCM音楽 [ELIAS ARTS]
  5. 第 5 位 ( ⇒ )
    LUHICA「手鎖の月」
    NHK総合・木曜時代劇「あさきゆめみし」主題歌
    ♪ 編曲は 近藤隆史 吉田武史 田中ユウスケ。

 我が家には、放送に関する書籍を相当所蔵していますが、最近 放送史の書籍を読み返す機会が多くなりました。まだテレビジョンが普及していない終戦直後から 昭和 30年代前半にかけてのNHKラジオ第1放送の史実を、複数の文献を通して、今週は 興味深く精読しました。私が まだ生まれる前の頃は、家庭の娯楽がラジオ受信機に集中していた、ラジオの黄金時代でした。

 当時のNHKでは、全国聴取率調査を実施していました。その 1955年(昭和 30年)の全国聴取率調査において、なんと 71%という神域に達する様な驚異的聴取率をマークしたラジオ番組がありました。毎週月曜夜に 7時30分から放送していた「三つの歌」という番組です。「三つの歌」は、聴取者参加の音楽番組で、全国を巡回して公開録音していました。

 かつてNHKには、和田信賢・宮田輝・高橋圭三・青木一雄・中西龍と、最も技量が優れたアナウンサーが 5人いたと、以前ブログに書いた事がありました。その筆頭とも言える 宮田輝(みやたてる)アナウンサーが、この「三つの歌」を担当していました。宮田 アナは、出演者が緊張しない様に会場を盛り上げながら、穏やかな口調で軽妙洒脱に番組を進行していきます。

 番組のフォーマットは、のど自慢に似ている形態で、一般聴取者から選ばれた出演者に いきなりのピアノ伴奏で歌を 3曲 唄ってもらいます。のど自慢と違う点は、音楽クイズになっており、出場者は 歌詞を間違えなく唄わなければならず、唄っている途中で間違えると、宮田 アナが遮って歌詞の訂正を やんわり求めてきます。そして 3曲 無事唄えれば合格という仕組みです。

 私は この「三つの歌」の録音を保有しています。放送開始 80周年記念として、完全ノーカットで再放送された際に録音しました。天地真佐雄 氏のピアノ伴奏だけで、当時の人は よく流行歌や唱歌を唄い切ったなと思いますが、番組の最大の魅力は、3曲 唄う間の宮田 アナ と 出演者のフリートークや、歌詞を間違った時に訂正を求める宮田 アナの絶妙なコメントです。

 特に宮田 アナのトークは、会場の土地柄や方言に 出演者の経歴などを巧く織り交ぜながら、茶飲み話でもする様な即興性があり、場内の笑い声が絶えず、その雰囲気が総てラジオを通して全国の聴取者にも見事に伝わって「三つの歌」の高い人気の原動力となりました。いま 三つの歌 の録音を聴いてみても、こんなに楽しいラジオ番組が、この世にあるのかと思わせるぐらいです。

 宮田 アナは、その後NHKのトップアナとなり、退職後に全国区から参議院選挙へ出馬。なんと 259万5236票という驚異的な得票で当選します。当時の全国区の開票は 翌日開票が主で、午前 9時に第1回の中間得票が中央選管から発表されますが、NHKの開票速報は その午前 9時に、元職員アナの宮田輝 候補だけ、唯ひとり当確を打ったのが非常に印象的でした。

 驚異的な全国聴取率 71%をマークしたラジオ番組には、やはり 高い人気が出た理由 と 背景がありました。終戦から復興が芽吹き、ラジオこそ最大の娯楽だった時代に、日本の放送史に残る国民的人気を博し、宮田輝 アナウンサーの出世作となった「三つの歌」は、50年以上経た今、聴き直しても全く遜色がないほど、最高の娯楽ラジオ番組として光り輝いています。


ブログ開始は 2003年です。

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