第623回ランキング
- 第 1 位 ( ⇒ )
NHK総合・大河ドラマ「花燃ゆ」テーマ音楽 [川井憲次] - 第 2 位 ( ⇒ )
鈴木常吉「思ひで」
SBC MBS・ドラマ「深夜食堂3」オープニング曲
♪ 2006年発表のアルバム「ぜいご」に収録。 - 第 3 位 ( △ )
女王蜂「ヴィーナス」
テレビ東京・ドラマ24「怪奇恋愛作戦」オープニング テーマ - 第 4 位 ( △ )
NHK総合・土曜ドラマ「限界集落株式会社」劇中効果音楽 [林ゆうき] - 第 5 位 ( ▽ )
NBS フジ・ドラマ「ゴーストライター」劇中効果音楽 [眞鍋昭大・笹野芽実・得田真裕・末廣健一郎]
近年は、深夜帯のテレビドラマが一気に普及してきました。10年ほど前は、テレ朝系の金曜ナイトドラマぐらいしかなかったのですが、BSを含めると今やほぼ毎日、深夜帯で新作ドラマが放送されています。多様な視聴者層に上手くフィットさせながら制作していますが、最近の深夜ドラマで素晴らしいと思った作品は、やはりMBS毎日放送制作の「深夜食堂」です。
元々コミックが原作で、2009年 と 2011年に 2シリーズ計 20本を放映。約 3年ぶりの第3シリーズは、映画化への含みがあり、さらに 10本が制作されています。この深夜食堂「めしや」の営業時間は、深夜 0時から朝 7時頃までという設定。ドラマのオープニングには、唯一のメニュー品目である「豚汁定食」の豚汁を作っているシーンが必ずあります。
マスターである小林薫は、1987年 と 1988年のNHKドラマ「イキのいい奴」で、寿司屋の親方である主役・兵藤晋作 役を演じ、平均 22%の高視聴率をとり人気を博しました。大変優れている作品です。小林薫は、数多(あまた)ある俳優の中でも、本当に調理師免許を持ってるのではないかと(笑)思わせてしまうほど、深夜食堂のマスターが 実にハマり役です。
「深夜食堂」の通算話数は、シリーズを超えて加算しています。その計 30話の中でも初期の 第2話「猫まんま」は、ある演歌歌手(田畑智子)の駆け上り そして 駆け下りていく生涯を、僅か 30分のエピソードだけで、見事に描き出しており、視聴後に深遠な印象を残します。この第2話「猫まんま」は、ドラマ シリーズの流れを決定付ける最高傑作だと思っています。
ドラマ特有の作為臭さが、この深夜食堂にはなく、ラストでは ゲスト出演者がドラマの延長で、サブタイトルになっている単品献立調理のコツを紹介するミニコーナーがあります。最後に視聴者へ おやすみなさい と挨拶までするコンセプトからは、不思議な温かさが伝わってきます。その温かさからフィクションを超え、現実に溶け込んでいく様な世界観が醸し出されるのです。
主題歌は 各シリーズ毎に違った曲が流れますが、なんと言っても特筆出来るのは、オープニングで流れる鈴木常吉「思ひで」です。週間選曲リストでも 1位 2週を記録し 現在もリストインされています。鈴木常吉は かつてのイカ天バンド「セメントミキサーズ」のリード ヴォーカルで、その昔「東京ラッシャイ」というスピード感あるスカなチューンを出していました。
このブログの週間選曲リストは、多楽器によるアレンジの音楽和声感を最も大切にしていますが、アイルランド民謡である この「思ひで」は、G.1本だけの削ぎ落としたアレンジ と 歌詞が中心になっています。またこの変わらないオープニング同様「深夜食堂」は、キャラクターが一変したオダギリジョー以外(笑)レギュラー出演陣が殆ど変化しないのも特徴です。
不破万作、松重豊、山中崇、綾田俊樹、安藤玉恵、光石研、宇野祥平、金子清文、須藤理彩、小林麻子、吉本菜穂子が、深夜食堂の常連客として登場し、この常連客達が、ドラマの重要な要素となるのです。エピソード毎に入れ替わりながら、ゲストを迎えて役に同化しながら演じており、この深夜食堂レギュラー陣の変わらぬ普遍性が、ドラマの大きな存在感に昇華しています。
私は、あたりまえの様に続いてきた、家族や職場での繋がりではなく、この深夜食堂レギュラー陣が演じる常連客同士の繋がりの様なものが、21世紀の社会では コミュニティの細胞となっていくのではないか? と思う事さえあります。それだけ常連客同士の繋がりは 美しく、そのコミュニティの変わらぬ優しさ と 時代の先見性が、このドラマ「深夜食堂」の魅力なのです。
(追記) 週間放送視聴日記(2016年12月 9日)に、映画 続・深夜食堂 を観に行くを掲載しました。