FM長野・NHK-FM リスナーである ラジオネーム:チャート★ドランカーの個人ブログです。
私の 週間選曲リスト と 週間放送視聴日記 を 公開・保存しています。

第817回ランキング

   
  1. 第 1 位 ( ⇒ )
    BS Dlife・外国テレビドラマ「FOREVER Dr.モーガンのNY事件簿」テーマ音楽 及び 劇中効果音楽[Josh Kramon]
  2. 第 2 位 ( ⇒ )
    番匠谷紗衣「ここにある光」
    abn テレ朝・木曜ミステリー「科捜研の女」主題歌
  3. 第 3 位 ( ⇒ )
    UA「黄金の緑」
    BS朝日・ミニ番組「緑のコトノハ」テーマ曲
  4. 第 4 位 ( ★ )
    NHK総合・NHKスペシャル「平成史スクープドキュメント」テーマ音楽 [千住明]
    ♪ 旋律が少し平坦な気がしますが、補って余りある重厚さを有する佳曲。
  5. 第 5 位 ( ⇒ )
    NHK総合・土曜時代ドラマ「ぬけまいる ~ 女三人伊勢参り」劇中効果音楽 [吉俣良]

 ブロガー プロフィールでも紹介していますが、私は 約 30年以上に渡って、ラジオの音楽チャート番組を手書きで記録しまくっていました。そのノート、レポート用紙、印刷して作ったアナログな記録用紙は、今でも保存しています。耳から脳内(笑)には、ヒット曲を延べ 10万回以上 反復聴取した果てに得られた、音楽の和声感、調性感が存在しているのです。

 先日 この手書き資料を整理していて、1978年のザ・ベストテンのある楽曲記録に目が止まりました。渡辺真知子の 3枚目のシングル「ブルー」です。順位推移では 11位 3週、ベストテン内 4週、再登場ありと苦労の多いポジショニングでした。しかし、私の和声感、調性感からは、この「ブルー」が、歴代 10傑に入るほどの美しい歌謡曲(邦楽)だと断言できます。

 この「ブルー」は、声楽出身の渡辺真知子のヴォーカルを含めた器楽として、船山基紀のアレンジが神域に達するほど優れた作品です。冒頭から使われている チェンバロ という楽器は、バロック音楽などに多用されており、この曲をボサノバ系と評する方も多いのですが、私は、このチェンバロ と 終奏部の終止技法に、強くバロック音楽の存在を感じてしまいます。

 特徴的なのは、イントロや 間奏部の和音構成です。メジャーコードで使われる和音で、マイナーな音階を表現しているかの様で、特に 後半サビ直後 リフレイン直前のストリングスや チェンバロなど器楽合奏による畳み掛ける和音構成は、ファンファーレにも近接している強調性があります。この様なアレンジは、ヴォーカルに力量がないと伴奏に埋没してしまうのです。

 この「ブルー」という楽曲のアレンジは、和声の連結というレベルを超越し、ヴォーカルの旋律と、チェンバロやコーラスを含む器楽和声が二重構造になっており、バックの演奏は、もうひとりの渡辺真知子が唄っているかの様な存在感を有してます。渡辺真知子がライブなどで、アカペラに近く伴奏を削ぎ落としているのは、もうひとりの渡辺真知子が少し邪魔なためです(笑)。

 しかし、この「ブルー」は、最初にレコーディングされたオリジナルのアレンジが最も優れています。渡辺真知子の歌唱力 と 表現力を信じた上で、このチェンバロを含む器楽和声と闘えると、船山基紀は 判断したのかも知れません。オリジナルアレンジの「ブルー」は、歌謡曲としても、ニューミュージックとしても、和声的に大変高いレベルの美しさを保持した楽曲です。

 「ブルー」を聴いて、アレンジが美しいと感じた方は、私と同じ和声感を有していると思います。そして歌謡曲を含むポピュラー音楽に、美しさを聴き取る事が出来る方です。1978年に発表された「ブルー」は、ヴォーカルを含む器楽合奏による和声学の教材になれる程の優れた作品で、渡辺真知子の代表曲であると同時に、アレンジャー・船山基紀の最高傑作なのです。


ブログ開始は 2003年です。

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