第431回ランキング
- 第 1 位 ( ⇒ )
NHK総合・ドラマ10「マドンナ・ヴェルデ」劇中効果音楽 [村松崇継] - 第 2 位 ( ⇒ )
NHK総合・連続テレビ小説「おひさま」テーマ音楽 及び 劇中効果音楽 [渡辺俊幸] - 第 3 位 ( △ )
MISIA「記憶」
abn テレ朝・ドラマ「遺留捜査」主題歌 - 第 4 位 ( ★ )
Sade“Still In Love With You”
♪ 頑固な旋律パターンですが、アコースティックバラードの佳曲。 - 第 5 位 ( ⇒ )
NHK総合・大河ドラマ「江 ~ 姫たちの戦国」劇中効果音楽 [吉俣良]
ラジオが大好き、ラジオ番組が大好きというコアなリスナーは、このネット時代でも たまに散見出来ますが、好きが昂じて放送法や電波法の領域まで深く研究する人は、なかなか存在しません。私は、その稀有な存在の一人です(笑)。昨年11月26日に成立した改正放送法が、まもなく施行されます。日本の放送の基本法が、60年ぶりに抜本改正となりました。
今回改正された放送法や関連政令・省令を読解して、ふたつ大変驚いた点がありました。まず今まで放送業界を下支えしていた「マスメディア集中排除の原則」が、ラジオ局(コミュニティFM局を除く)に限りますが、大きく緩和された点です。緩和ではなく、ラジオメディアに関しては、マスメディア集中排除の原則が、条件付きで撤廃と言い切れるかも知れません。
なんと 4社まで、ラジオ局同士の経営統合や合併が認められる事になりました。県域ラジオ局の置局実態を考え合わせると、当然広域での経営統合や合併が視野に入っているはずです。出資比率制限を受けますが、5社以上も不可能ではなくなりました。TBSラジオ・QR文化放送・LFニッポン放送・RFラジオ日本が 1社へ経営統合しても、法令に反しなくなったのです。
在京AM局で無難な例えをしてますが(笑)総務省は、いかに全国のラジオ局の経営に対し強い危機感を覚えていたのかが解ります。もし経営統合や合併が実際起きた場合、ラジオ局同士の競争原理が薄まります。そして局内部でリストラの嵐が吹き荒れるのも間違いありません。ただ それがラジオリスナーサイドから見て好ましくない結果なのかは、即答出来ないのも事実です。
もっと驚いたのは、免許不要局の空中線電力の上限が、0・01Wから 1Wへ 一気に 100倍上がった点です。読み間違いではないかと 何度も確認していますが(笑)本当に 100倍上がりました。1Wというと殆どの方は、ライトや電球を想像して(笑)ピンとこないかも知れませんが、ラジオ送信では 大変なパワーとなってしまいます。そこまで原則免許不要なのです。
FM長野 大鹿 中継局の送信出力が 1Wです。コミュニティFM局の送信出力制限も当初 1Wでした(現在は 20W)。私は、長野県 松本市郊外のマンション 3階に住んでいますが、ここのベランダから 1WのFM送信機で電波を送出したらどうなるでしょうか? 松本市街地の広範囲をカバー出来ると思います。その 1Wの送信まで放送免許不要になるとは、本当に驚きました。
1980年代にフランスでは、放送電波の開放政策が実施されています。「自由ラジオ(Radio Libre)」として、大変な数のFMラジオ局が誕生しました。パリ市内では 100局以上受信出来たと言われています。今回の改正で、この自由ラジオへ日本も突進していく、法的母体を作り上げてしまった事にもなります。しかし総務省は そんなに甘くありません。
今回の場合、密接に関連する電波法における刑事罰のない微弱電波の電界強度基準(電波法施行規則)などが、まだ変わっておらず、従来の規制は続いています。この急所である基準まで改正すれば、前述の「自由ラジオ」へ向かってしまいますが、歯止めをかけています。それでも免許不要局の空中線電力の上限が 100倍アップとは、大変な放送法の改正ポイントだと思います。
他にも全ての放送局を「基幹放送」と「一般放送」に分類し、電波使用で保護され得る基幹放送を満たす条件として、番組調和の原則を厳格に適用すると法制化されました。県域以上のテレビ局・ラジオ局は、当然 地上基幹放送の要件を満たす必要があります。その要件とは、報道番組も教養番組も一定比率放送して、バランスの良い編成をしていく番組調和の原則なのです。
しかし、音楽中心の民放FM局で、報道番組も一定比率を満たし基幹放送としての資格を維持出来るのか? いろいろと懸念が出てきます。あんな番組を報道番組と種別したり、こんな番組を教養番組と種別して、比率を保つテクニックは可能ですが(笑)なし崩しになれば、番組調和の原則は 形骸化の懸念すらあります。当然 具体的な番組種別も公開しなければなりません。
「オーディエンス・セグメンテーション」など もはや過去の方法論です。今回の法改正は、ラジオ局にとって重大な転換点になる事は 間違いありません。自分達のターゲット層に合ったリスナーを探し求めるのではなく、絶対多数のリスナー層へ自らを合わせていくラジオ放送が求められています。その努力は、ラジオメディアのビジネスモデルを考える以前の問題なのです。