第519回ランキング
- 第 1 位 ( △ )
Sissel “Weightless”
NHK BSプレミアム・ドキュメンタリー番組「追跡者 ザ・プロファイラー」テーマ曲
♪ 実に美的な終奏部を有しています。 - 第 2 位 ( △ )
NHK総合・時代劇「塚原ト伝」テーマ音楽 [川井憲次] - 第 3 位 ( ▽ )
SBC TBS・ドラマシアター「ハンチョウ6 ~ 警視庁安積班」オープニング テーマ音楽 [遠藤浩二] - 第 4 位 ( ▽ )
abn テレ朝・木曜ミステリー「科捜研の女」劇中効果音楽 [川井憲次] - 第 5 位 ( ⇒ )
NHK総合・大河ドラマ「八重の桜」テーマ音楽 [坂本龍一]
2月に入っているのに、新年のテレビ番組の話で恐縮です(笑)。1月 3日の午後に abn長野朝日放送で新春シネマとして「大鹿村騒動記」が放送されました。「男はつらいよ」全作完全放送の時にもブログで書きましたが、映画館で観る事が殆どなく、映画を「映画放送」するまで待つ私の様な放送マニアとしては 待望の放映です。もちろん しっかり録画しました。
さすが abnです。上映 93分をノーカットで放送。今週なんとか時間を作って録画をMPEGファイルへ編集しました。映画「大鹿村騒動記」は、1年半前に公開され 主演を務めた名優・原田芳雄の遺作となった作品です。原田芳雄は、NHK長野放送局制作のドラマで知った「大鹿歌舞伎」に惚れ込み、映画制作の構想を練り、制作を進めようと運動してきました。
人口 1100人の信州の小さき村、長野県 下伊那郡 大鹿村の村民の中に、原田芳雄 を始め、石橋蓮司、小倉一郎、でんでん、小野武彦、瑛太、松たか子。さらに駆け落ちしたとはいえ(笑)住民登録上は 岸部一徳、 大楠道代、そして三國連太郎・佐藤浩市 親子までいるという秀逸なキャスティングには、実在する大鹿村に、まるで夢を見てる様な素晴らしさが存在します。
300年続く大鹿歌舞伎は、日本有数の地芝居・村歌舞伎です。映画では 大鹿歌舞伎の制作過程が、滑稽ながらも ふんだんに織り込まれていました。大鹿歌舞伎を、一から理解していくには、まずこの映画の観覧をお勧めします。そして大鹿村をとり囲む自然環境の厳しさも、村営バス運転手・佐藤浩市を襲った崖崩れ事故のシーンなどで端的に表現されていました。
映画全体には、ラジオ放送や 防災行政無線の広報風景、さらにアナログから 地デジへのチューナー交換をする描写などが、多くちりばめられ大変興味深かったです。特に でんでん が温泉の湯船に入る際、ラジカセ持参でラジオを聴いていたシーンが、とても印象的でした(笑)。なかなか悪くない入浴法です。ただどうも そのラジオ放送は、AMだった様です(笑)。
このブログでも以前、出力僅か 1WのFM長野 大鹿中継局の紹介をしていますが、大鹿村は 県内のAMラジオが難聴取地域で、それ故FM長野 と NHK-FMの中継所が建設された経緯があります。エンドロールにあった通り、TOKYO FMが制作に加わっているなら、FM長野も協力の上で、村内のラジオ受信の実態に合わせて欲しかったと思いました。
さらに注目したのは 飯田市 出身の安川午朗が制作した劇伴音楽です。大鹿歌舞伎本来の三味線の旋律や浄瑠璃の詞章と、打楽器の和音から繋がっていくストリングスの旋律が、ゆっくり溶け込む様に調和していました。但し この調和の理解は、なかなか難しいと思います。相当ノンジャンルで音楽を聴き込んでいった者でないと備わらない和声感 と 調性感が必要な気もします。
大鹿歌舞伎をメインに、記録映画のスタンスで視ていた観客の方には、強い違和感を覚えたかも知れません。また少し大鹿村や 大鹿歌舞伎と違う異質な映画のテーマを、詰め込んでいたのも気になりました。当初 映画のタイトルも違っていましたが、原田芳雄が強く「大鹿村騒動記」と推して変更になったそうです。ですからタイトルの表題も 原田芳雄自身が書いています。
「大鹿村騒動記」のキャスティングには、深い俳優陣の経歴が裏打ちされています。このブログでも取り上げた TBSドラマ木曜座「たとえば、愛」工藤六助 役の原田芳雄が、勝プロダクション制作の時代劇「痛快!河内山宗俊」第23話 真っ赤に咲いた想い花 の劇中、無頼剣で切り捨てた悪役・石橋蓮司と一緒に、下伊那郡 大鹿村民として大鹿歌舞伎を演じていました。
さらに村営バス運転手は 佐藤浩市で、防災行政無線で広報していた大鹿村総務課職員が松たか子という配役からも、信州の小さな美しき村と、トップクラスな俳優陣の一体感を醸し出しており、映画視聴後は、大鹿村へ日帰りで行き、ディア・イーターでカレーでも食べ、大鹿中継局からの電波の電界強度が最も高い大河原集落で、FM長野を聴きたくなるほどでした。
大鹿村への日帰り小旅行のプランを練ってみましたが、公共交通を利用するとなると大変です。佐藤浩市 運転手のあの村営バスは、夏場の登山シーズン以外、大河原集落に入るのが午後以降 3本だけの運行です。村に入ったら翌朝まで出られません。小野武彦が旅館経営していた鹿塩温泉へ、一泊するしか方法論がない様です。もしくは タクシーのロングで直行直帰でしょうか?